自分を攻略していく記録

自分がやりたいことを達成するには何をすればいいのか、その攻略していく過程をつらつらと

中国の深センの病院を退院して無事帰国しました。(医療搬送とかお金とか海外旅行保険の話)

2019年の2月16日に深センで肺気胸にかかって現地の病院で丸1週間入院した。 詳細については以下に書いたとおり。

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無事帰国できたので、その際の医療搬送や、海外旅行保険、お金周りについて書いておく。

保険の選択

短期で海外旅行に行くときは、わざわざ保険に入らない人も多いのではないだろうか。少なくとも自分はそういうタイプだった。

2018年に何の前触れもなく気胸になってからは、急病のリスクを考慮して、海外旅行保険が手厚くカバーされている(と思われる)アメックスのクレジットカードを発行しており、今回はアメックスのクレジットカード付帯の海外旅行保険を利用した。

カードによって自動付帯のものや利用しないと発動しないものがあるので要注意。

海外旅行保険利用までの流れ

最初に病院に着いて診察して入院が確定したあとに、クレジットカードの裏に書いてある電話番号に電話をかけて、「中国で病気になって入院することになったので保険を利用したい」という旨を伝えた。たしか日本時間の夜22時半くらいだったと思う。24時間のコールセンターを持っているので、夜中に電話をしても対応してもらえる

保険会社に自分が利用している病院を伝えると、後は向こう側が病院に問い合わせて病状や今後の医療方針について確認してくれた。また毎日のように病状や保険の詳細について電話でやりとりをした。メールでのやりとりもあったのだが、こちらがメールで返すとメールで返信が来るのではなく電話で連絡が来たのが不思議だった。メールだと既読かどうかがわからない、と言った理由があるそうだ。

重要な論点として、同じ病気の再発であれば保険対象外になる、ということがある。今回の病気は右肺の気胸なのだが、昨年左肺の気胸を発症しており、再発とみなされると保険の適用外になってしまうので、日本の医師に再発かどうかの問い合わせたりと確認作業があり、保険の適用可否についてはすぐに分からなかった。幸いにも、今回のケースは再発ではないと判断され(右と左は関係ないので当たり前ではある)保険適用になったが、場合によっては降りないケースもあるので注意が必要だ。

クレジットカード付帯の海外旅行保険の実態

クレジットカード会社が持っている海外旅行保険の中身について少し深ぼってみる。各クレジットカード会社は海外旅行保険をサポートしているが、実はアメックス付帯の海外旅行保険でもVisaの付帯のものでも、EAJ (Emergency Assistance Japan)という日本の上場企業が実際のサービスを提供している。お金の負担自体はアメックスやVisaなど保険を扱っている会社が行うのだが、現地の医師とのコミュニケーションや、コールセンターそのものはEAJが行っているのである。クレジットカードの裏に書いてある24時間のコールセンターとは、EAJのコールセンターのことを指す。言い換えると、僕の場合アメックスの保険だが、実際にやり取りしていたのはEAJの人であるということだ。

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EAJと保険会社の関係(参照:https://emergency.co.jp/service/remedy/insurer/ )

入院する病院が、EAJが提携している医療機関(世界で1700ほど; 2019年2月時点)である場合は、キャッシュレス診療になり、患者はお金を払わず保険会社が代わりに払ってくれる。ここでのキャッシュレスは電子マネーとかクレジットカード払いということではなく、お金そのものを出さないという意味である。保険会社が払ってくれるのだが、厳密には、EAJが病院側に対して一旦建て替え、手数料分を上乗せしてアメックス側がEAJに支払っているのである。

今回お世話になった病院は提携外の医療機関だったが、うまくEAJの中国人スタッフの方に話をまとめていただき、キャッシュレス診療になった。スタッフは世界の各地にいるそうで、今回は广州という深センから2時間ほどのエリアから来てくださった。

かかったお金

実際に診察してから退院までにかかった金額は、4000元程度なので7万円未満だった。実際は自分でなくアメックスが払ってくれているのだが。アメリカだと桁が1つ違ってくるのかもしれないが深センの病院は思ったより安い。もし手術をしたとしても日本の3割負担の額より少々高い、程度だった。

この治療費の負担は、疾病治療費用保険金と呼ばれる。ところが、今回保険に助けられたのは、救援者費用保険金だった。この救援者費用保険金とは、現地まで救援に来てくれた人の負担をカバーしてくれるものである。これが適用される条件は保険によって異なるが、アメックスの場合は、7日以上の入院が対象になるのでちょうど対象になった。

一般的に肺に何かしら疾患があった場合は、飛行に乗るのが制限され、航空会社にも断れる。今回のケースでは、帰国まで1ヶ月飛行機を控える必要があり、それより早く帰国するには医療搬送で飛行機に乗る必要があった。この医療搬送も、救援者費用保険金でまかなうことができた。医師・看護師と同伴で酸素や緊急用の医療器具とともに飛行機に乗ることで、発症から2週間後、退院から一週間後に帰れることになった。医師と看護師を日本から深センに呼んで一緒に帰国することになるので、自分で手配すると数百万円はかかってくるのだが、今回は保険でこれがまるまるカバーされたのが救いだった。

まとめると、保険でカバーされたのは、病院で発生した一切の金額(ただし、食事代は除く)と帰りの交通費(医療搬送)の大部分。交通費ついては少しややこしく、もともと保険なしで帰国する際に発生したであろう、深センから家までの飛行機代・電車代・バス代は自分で払って、それ以外の医療搬送の分等は負担してもらえた。

帰国までの流れ

早く帰りたいという旨を伝えていたので、保険会社(おそらくEAJ)の顧問医師が推奨しうるする最短の日程で帰国することになった。EAJが飛行機の予約や医療搬送の手配をしてくれ、そこで初めて自分の帰国日が分かった。

帰国当日は同行してくれる医師と看護師が滞在中のホテルのロビーまで来てくれ、深センから香港空港行きの専用のバンで移動した。EAJの現地の中国人スタッフもそれに同行してくれた。この時に同行してくれた看護師さんは、50を超えてからイギリスの大学院に行ったり今は旦那さんと開業されていたりと、アクティブな方で、どうやら東大の看護科でチアリーダー部だったらしく珍しい出自の方だった。

今回は医療搬送ということで、客室乗務員(や訳ありの人も?)ゲートから出国手続きを行い、列に並ぶことなく搭乗エリアまで到着した。

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出国ゲート

飛行機では全く違和感がなかったわけでもないが、幸いなことに大きな問題もなく、無事に自宅まで帰ることができた。

みんな海外旅行保険はちゃんと確認しておこう